元ニューヨーク駐在サラリーマンのブログ

NY時代の経験や最近のアメリカについて感じたことを書いていきます

人種差別問題の余波

年が空けて急にニューヨークらしい寒さが続いています。

 

さて、日本でも報道がされていましたが、昨年末、ニューヨークのブルックリンで、パトカー内で休憩中の警察官2名が、黒人男性に突然銃で撃たれて殺されるという事件がありました。

犯人は犯行後、近くの地下鉄駅構内で拳銃で自殺しました。

 

この事件は、それまで続いていた警察官に対する、どちらかといえば冷たい世間の視線を一変させるのに十分でした。

 

(ニューヨーク界隈の)多くのアメリカ人は殺害された警察官への弔意を示すとともに、それぞれのコミュニティーの警察官への敬意を表すため各地で集っていました。

 

年が明けて殺害された警察官の葬儀が執り行われましたが、ニューヨーク近辺だけではなく、全米から警察関係者が参列する大規模なものでした。

 

その中で、一部の警察官たちが弔辞を読み上げる間中、デ・ブラジオ市長に背を向けている姿が印象的でしたし、多くのニュースで取り上げられていました。

 

これは、一連の警察官による黒人容疑者の殺害をはじめとする差別的とも言われている取扱いに対して、市長が批判的な発言をしていることに対してNYPDの組合のトップをはじめとする警察官が反発しているためです。

 

単に市長の発言に対して反発しているだけであれば大きな問題にはなりませんが、先ごろの報道では、年末年始のNYPDによる軽犯罪の摘発が激減しており、市長に反発する警察組織のサボタージュではないかと疑う向きもありました。

 

私自身は警察官に差別的な取扱いを受けたこともありませんので、どちらかといえば、他人事のように見ていましたが、一連の出来事が身の回りの治安に影響を及ぼすということになれば、否が応でも気にせざるを得ません。

 

市長に願うのは、自らの急進的な考え方に固執することなく、現在の治安良好なNYを作り上げたのは、前々市長のジュリアーニ氏の頃より、NYPDが軽犯罪を徹底的に取り締まることよりはじめた取り組みの賜物であることを忘れずに、柔軟に改革を進めていって欲しいものです。