コロナウィルスで噴出したアメリカ社会の闇
日本でも東京、大阪等の大都市で日々感染者が増えていますが、ニューヨークでは、その比ではない感染者・死亡者が伝えられています。
つい一月前までは、どこか他人事のように、遠くアジアの出来事のように語られていたのが嘘のようです。しかし、状況は日々悪化してしまい、私の周りでも、ニューヨークを含む米国(というよりも海外駐在全般)への赴任が無期延期になったという話をちらほら聞こえています。
当初ニューヨークで感染が広がったと言われていたのが、日本人駐在家族が多く住むウェストチェスターということで、久しぶりにローカルニュースサイトにアクセスして状況を注視していました。
その時の記憶によれば、ウェストチェスター南東部に位置するニューロッシェル(駐在日本人家族は殆ど住んでいませんが、ガソリンスタンド付きのコストコがあり、よく利用していました)在住のユダヤ人弁護士を発端に、ユダヤ教の教会であるシナゴーグで集団感染が発生し、街全体が封鎖されたというものでした。
そのタイミングでは、NYCの感染者もさほどではなく、ニューロッシェルが感染のメッカといった様相でした。しかし、それから間も無く、NYCでの感染大爆発が起こってしまい、このブログの読者もご存知の状況になってしまいました。
ここで疑問なのですが、なぜここニューヨクでこれほどまでに感染が広がってしまったのでしょうか?
巷間いろいろ言われているとおり、衛生観念が相対的に高くない、人口密度が高い等の要因もあるのでしょうが、何よりも、医療制度の問題が大きいのではないかと思います。
ご存知の通り、アメリカには日本のような国民皆保険制度はなく、健康保険の大部分は民間の保険会社が担っています。ここまではよく知られた話ですが、日本での報道等ではここで話が止まってしまいがちです。本当に注目すべきは、日本のように医療行為に関する公定価格が無く、保険会社と医師・病院との間の交渉で価格が決められているということです。
この価格には当然地域差があり、ニューヨークのような大都会では高額になりがちです。高額な医療費は、医療へのアクセスを狭めることになり、たとえオバマケアの名残で保険に加入している低所得者層であっても、自己負担額の多さに躊躇してしまうことも容易に想像できます。
また、そうした低所得者層は、見た目からして不健康そうな人々が多いのも事実です。要因はいろいろあるのでしょうが、安くてカロリーの高い冷凍食品などを食していたり、コーラに代表される加糖された炭酸飲料を大量に摂取してるからでしょう。肥満体であれば、当然基礎疾患を持っている人も多いのでしょうが、前述のように高額な医療費に躊躇して、満足に病院に通って治療していることはほとんどないと思われます。
こうした人がコロナウィルスに感染してしまうと、残念ながら重症化してしまっているケースが多いと言われています。実際、人種間の死亡率の際に注目が集まっています。圧倒的に黒人とヒスパニックの死亡率が高くなっています。
もちろん、医療へのアクセスの問題はニューヨークだけではなく、全米どこでもあるのでしょうが、他の地域よりも高額であろう医療費が低所得者層のアクセスをさらに狭め、人口密集も相俟って、現在のようになってしまったのではないかと思います。
いずれにせよ、一刻も早く、このような状況が治り、いつものニューヨークに戻ってくれることを願ってやみません。